「骨の貯金」は子どものうちから🦴

〜成長期に育てたい、一生ものの丈夫な骨〜

10月20日は「世界骨粗鬆症デー」です。

骨粗鬆症の予防や骨の健康について、世界中で関心を高めるために設けられた日です。[1]

「骨の健康」と聞くと、年齢を重ねてから気をつけるもの、というイメージがあるかもしれません。

ところが、将来の骨の健康を考えるうえで、大切なのは子どもの頃からの積み重ねです。

私たちの骨は、幼い頃から成長し、特に10代には骨の量が大きく増えていきます。

いわば、未来の自分のために積み立てる「骨の貯金」。

今回は「世界骨粗鬆症デー」をきっかけに、その仕組みと、家庭でできる骨づくりの工夫をご紹介します。

骨にも「貯金」があるって知っていますか?

私たちの骨は、体の成長とともに大きくなり、骨そのものの量も増えていきます。この骨の量を「骨量」といいます。

その中でも、骨の貯金を増やす大きなカギを握っているのが、10代の成長期です。

骨量は思春期に大きく増加し、若い成人期にかけて最大となります。この人生の中で最も骨量が多くなる状態を「最大骨量(ピーク・ボーン・マス)」といいます。[2][3]

若いうちに十分な骨量を蓄えておくことは、将来の骨粗鬆症のリスクを減らすうえで、とても重要です。

ただし、骨づくりは10代になってから始めればよい、というものではありません。

幼い頃からの食事や運動の積み重ねが、成長期の骨づくりを支える土台になります。

そして、10代になってからも、毎日の生活習慣を大切にすることが欠かせません。

幼い頃から土台を育て、10代で大きく蓄える。

そんな骨づくりの積み重ねが、未来の健康につながります。

「骨の貯金」が、将来の暮らしを支えている

年齢を重ねると、骨量は徐々に減少しやすくなります。

骨の強さが低下し、骨折しやすくなる病気が「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」です。[4]

骨粗鬆症によって骨がもろくなると、少しの転倒でも、骨折してしまうことがあります。

特に高齢になってからの太ももの付け根の骨折などは、入院やリハビリが必要になり、体を動かす機会が減るきっかけになることもあります。

活動量が減り、筋力や身体機能が低下すると、さらに転倒しやすくなるという悪循環につながる場合もあります。[5]

その結果、これまで当たり前にできていた散歩や買い物、家族とのお出かけが難しくなったり、介護が必要になったりすることもあるのです。

骨の健康を守ることは、将来も自分の足で歩き、好きなことを楽しむ暮らしを守ることにつながっています。

もちろん、骨粗鬆症になった人が必ず骨折するわけではありません。また、骨の健康は大人になってからの生活習慣によっても左右されます。

だからこそ、子どもの頃からできることを少しずつ積み重ねていきたいですね。

今日から始める、骨を育てる3つの習慣

では、骨の貯金を増やすために、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。

大切なのは、特別なことをするのではなく、毎日の生活の中で無理なく続けていくことです。

① 食べて蓄える、「骨の貯金」

カルシウムは、丈夫な骨をつくるために欠かせない栄養素です。

牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品のほか、骨ごと食べられる小魚、小松菜、豆腐などにも含まれています。[4]

例えば、朝食にヨーグルトを添えたり、夕食のおかずに小松菜や豆腐を取り入れたり。いつもの食事に少し工夫を加えることで、カルシウムをとる機会を増やせます。

給食で牛乳を飲んでいるお子さんも、休日には乳製品をとる機会が減っていないか、振り返ってみるのもよいと思います。

② 組み合わせて育てる、丈夫な骨

「骨を丈夫にするには、カルシウムをとればよい」と思っていませんか。

実は、カルシウムを十分にとることだけが、骨づくりではありません。

例えば、ビタミンDにはカルシウムの吸収を助ける働きがあり、ビタミンKは骨の形成に関わっています。[4]

つまり、骨づくりには、骨の材料になる栄養素と、その働きを支える栄養素の両方が大切なのです。

ビタミンDは鮭などの魚類やきのこ類に、ビタミンKは納豆や緑黄色野菜などに含まれています。

毎回の食事ですべてをそろえる必要はありません。朝食には納豆、夕食には魚、別の日には青菜を使ったおかずなど、日々の食事の中でさまざまな食品を取り入れてみましょう。

また、成長期には十分なエネルギーやたんぱく質も欠かせません。食事を抜いたり、極端に食べる量を減らしたりせず、体の成長を支える食事を大切にしたいですね。

③ 動いて育てる、骨の力

丈夫な骨を育てるためには、食事だけでなく、体を動かすことも大切です。

骨は、運動によって適度な負荷がかかることで、骨づくりが促されます。

特に、走る、跳ぶといった体重がかかる運動は、成長期の骨の健康を支えます。[2][6]

部活動やスポーツだけでなく、外で遊んだり、親子で散歩を楽しんだりすることも、体を動かすよい機会になります。

年齢や発達に合った遊びや運動を、無理のない範囲で楽しみながら取り入れていきましょう。

未来の自分に、丈夫な骨をプレゼントしよう

「骨の貯金」は、目に見えるものではありません。

けれど、毎日の食事や運動の積み重ねは、将来の骨の健康を支える大切な土台になります。

小さなお子さんを育てるご家庭では、これからの生活習慣を育てるきっかけに。

10代のお子さんにとっては、自分の体を大切にするきっかけに。

そして保護者の方にとっては、いつもの食卓や生活習慣を振り返るきっかけに。

毎日完璧にできなくても大丈夫。できることから、少しずつ積み重ねていきましょう。

将来も元気に歩き、好きなことを楽しめるように。

未来の自分のために、今日から「骨の貯金」を始めてみませんか。


参考文献

本文の参考文献

[1] International Osteoporosis Foundation.「Get involved(2026年世界骨粗鬆症デーのキャンペーン案内)」.2026年10月14日閲覧.
https://www.worldosteoporosisday.org/get-involved

[2] Weaver CM ほか.「最大骨量の発達と生活習慣に関する声明:研究の総合的な検討と実践への提言」(原題の日本語訳).Osteoporosis International.2016年;27巻4号:1281–1386.
https://doi.org/10.1007/s00198-015-3440-3

[3] National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases(NIAMS).「Kids and Their Bones(子どもと骨の健康)」.2023年5月最終確認.
https://www.niams.nih.gov/health-topics/kids-and-their-bones

[4] 厚生労働省.e-ヘルスネット「骨粗鬆症の予防のための食生活」.2021年10月27日最終更新.
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-007.html

[5] Dyer SM ほか.「股関節骨折後の長期的な生活機能障害に関する文献レビュー」(原題の日本語訳).BMC Geriatrics.2016年;16巻:論文番号158.
https://doi.org/10.1186/s12877-016-0332-0

[6] 真田樹義.厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症予防のための運動―骨に刺激が加わる運動を」.2022年11月18日最終更新.
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-05-001.html

図の作成に用いた追加参考文献

[7] 公益財団法人骨粗鬆症財団.「年代別予防のポイント」.2026年10月14日閲覧.
https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/case/sunbathing.html

[8] 日本整形外科学会.「骨粗鬆症(骨粗しょう症)」.2026年10月14日閲覧.
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/osteoporosis.html

[9] 日本整形外科学会.「大腿骨頚部骨折」.2026年10月14日閲覧.
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/femoral_neck_fracture.html

[10] Fairhall NJ ほか.「成人の股関節骨折手術後の移動能力を改善する介入」(原題の日本語訳).Cochrane Database of Systematic Reviews.2022年;第9号:CD001704.
https://doi.org/10.1002/14651858.CD001704.pub5

[11] Pinto D ほか.「骨粗鬆症による脆弱性骨折後のリハビリテーションに関する総合的アプローチ」(原題の日本語訳).Osteoporosis International.2022年;33巻3号:527–540.
https://doi.org/10.1007/s00198-021-06240-7