食べられるのに、なぜ捨てられる?🍙
〜食品ロスの「なぜ」から考える、私たちの一歩〜
今週金曜日、10月30日は「食品ロス削減の日」。
毎年10月は「食品ロス削減月間」とされ、食べものを無駄にしないための取り組みが全国で行われています。[1]
私たちが普段何気なく手に取っている食べもの。
その一方で、まだ食べられるにもかかわらず、捨てられてしまう食品があることを知っていますか?
「もったいない」という言葉は、よく耳にするかもしれません。
では、なぜ、食べられるものが捨てられてしまうのでしょうか。
今回は、食品ロスが生まれる背景を知り、私たちの暮らしの中でできることを一緒に考えてみたいと思います。
この記事でわかること 💡
① 食べられるのに、捨てられてしまう?
② 食品ロスは、どうして生まれるの?
③ 私たちの小さな選択で、何が変わる?
① 食べられるのに、捨てられてしまう?
食品ロスとは、本来食べられるにもかかわらず、捨てられてしまう食品のことです。
日本では、2024年度に年間約461万トンもの食品ロスが発生したと推計されています。[2]
その内訳は、
- 事業系食品ロス:約237万トン
- 家庭系食品ロス:約224万トン
食品ロスは、食品を製造・販売する事業者だけでなく、私たちの家庭からも発生しているのです。
しかし、「461万トン」と聞いても、どれほどの量なのか、私自身なかなか想像できません。
これを国民1人あたりに換算すると、毎日おにぎり約1個分(約102g)の食べものが捨てられている計算になります。[3]

参考文献[2]、[3]をもとに作成。全国の食品ロス量を人口で割った目安であり、一人ひとりが実際に毎日この量を捨てているという意味ではありません。
おにぎり約1個分と考えると、少し身近に感じられるのではないでしょうか。
そして、食品ロスによって失われるのは、食べものだけではありません。
食品をつくり、届けるためには、水やエネルギーなどの資源が使われ、多くの人の手が関わっています。
食べられる食品を捨てることは、そうした資源や、人々の働きを十分に生かせないことにもつながります。
また、家庭で購入した食品を使わずに捨ててしまえば、その食品に使ったお金も無駄になってしまいます。
さらに、食品の生産や輸送、廃棄の過程では温室効果ガスも排出されるため、食品ロスは環境にも関わる問題です。[2][3]
食品ロスは、決して遠く離れた場所だけで起こっている問題ではありません。
私たちの暮らしとも、深くつながっているのです。
では、どうしてこれほど多くの食品ロスが生まれてしまうのでしょうか。
② 食品ロスは、どうして生まれるの?
食べものは、つくられてから私たちの食卓に届くまで、さまざまな過程をたどっています。
そして、食品ロスはその過程のいろいろな場面で生まれています。[4][5]

食品ロスが発生する主な場面を示した模式図です。飲食店などでも食品ロスは発生します。参考文献[4]〜[6]をもとに作成。
食品をつくる・加工するとき
食品工場などでは、製造する過程で生じた食べられる部分の廃棄や、商品の返品などによって、食品ロスが発生することがあります。
例えば、製造した食品のうち、販売のための規格に合わなかったもの。
品質や安全性に問題がなく、まだ食べられるものであっても、商品として販売できず、廃棄につながる場合があります。
また、必要以上に製造した商品が、売りきれずに残ってしまうこともあります。[4]
食品を届けるとき
食品は、工場などでつくられたあと、卸売業者などを通じて、お店へと届けられます。
その過程でも、食品ロスが生まれることがあります。
例えば、食品をお店に納品する際には、賞味期限とは別に「納品期限」が設けられていることがあります。
その期限に間に合わなかった場合、まだ食べられる商品であっても、返品や廃棄につながることがあるのです。[4]
食品の品質を保ちながら、必要な量を、必要なときに届ける。
一見当たり前に思えることも、実際には簡単ではありません。
お店で販売するとき
スーパーやコンビニエンスストアでは、私たちが欲しい商品を買えるように、毎日さまざまな食品が用意されています。
しかし、いつ、どの商品が、どれくらい売れるのかを正確に予測することは難しいものです。
例えば、お店に並ぶおにぎり。
まだ食べられる状態でも、販売できる期限が過ぎれば、廃棄されてしまうことがあります。
私たちがいつでも商品を購入できる便利さの一方で、売れ残りによる食品ロスが生まれることもあるのです。[4]
飲食店で食事をするとき
レストランなどの飲食店でも、食品ロスは発生しています。
例えば、お客さんの数を予測して食材を仕込んだものの、使いきれなかったり、提供した料理が食べきれずに残ってしまったりすることがあります。
2024年度の推計では、外食産業から発生した食品ロスは年間約70万トンにのぼります。[5]
飲食店では、食材を無駄にしないための工夫が求められる一方で、私たちも食べきれる量を考えて注文することが、食品ロスを減らす一歩につながります。
家庭で保存・調理・食事をするとき
家庭で発生する食品ロスには、大きく分けて3つの種類があります。[6]
① 直接廃棄
購入したものの使う機会がなく、手つかずのまま捨てられてしまう食品。
② 過剰除去
野菜の皮を厚くむきすぎるなど、本来食べられる部分まで取り除いて捨ててしまうこと。
③ 食べ残し
食卓に並んだものの、食べきれずに捨てられてしまう食品。
例えば、一度使って残った野菜を冷蔵庫の奥にしまい、気づいたときには傷んでいた、という経験はないでしょうか。
こうした身近な出来事も、食品ロスにつながっています。
ただし、食品ロスを減らすことは、無理をして食べきることではありません。
食べる人の体調や食欲、食品の安全性を大切にしながら、無駄を減らす工夫を考えることが大切です。
このように、食品ロスが生まれる理由は一つではありません。
食品をつくる人、届ける人、販売する人、そして食べる私たち。
それぞれの場面で、さまざまな事情が重なっています。
その仕組みを知ることで、普段の買い物や食卓も、少し違って見えてくるかもしれません。
③ 私たちの小さな選択で、何が変わる?
食品ロスが生まれる背景を知ると、普段の暮らしの中にも、できることが見えてきます。
大きなことを始める必要はありません。
いつもの買い物や食卓での小さな選択が、食品ロスを減らすことにつながります。
買い物では「てまえどり」を意識してみよう
スーパーなどの商品棚では、期限が近い商品が手前に並んでいることがあります。
そこで、購入してすぐに食べる場合には、手前にある商品を選ぶ「てまえどり」という取り組みがあります。[7]
なぜ、この行動が食品ロス削減につながるのでしょうか。
期限が近い商品から購入されることで、売れ残り、販売期限を迎えて廃棄される食品を減らすことにつながるからです。
例えば、お子さんと買い物をしているとき。
「今日は帰ったらすぐ食べるから、手前のものを選んでみようか」
そんな会話も、食品ロスについて一緒に考えるきっかけになるかもしれません。
買い物の前に、冷蔵庫をのぞいてみよう
買い物へ行く前に、冷蔵庫の中を確認することも、食品ロスを減らすための一つの方法です。[6]
家にある食材を把握しておけば、同じものを買いすぎたり、使い忘れたりすることを防ぎやすくなります。
例えば、使いかけの野菜が残っていたら、それを使った献立を考えてみる。
「今日はこの野菜を使って、何をつくろうか?」
そんな小さな工夫が、食材を最後までおいしく使いきることにつながります。
食品の期限表示を正しく知ろう
食品には「賞味期限」と「消費期限」があります。
この2つは、同じ意味ではありません。[6]
賞味期限は、おいしく食べることができる期限です。期限を過ぎたからといって、すぐに食べられなくなるわけではありません。
一方、消費期限は、安全に食べられる期限を示すもので、期限を過ぎた食品は食べないほうがよいとされています。
いずれも、未開封で、表示された方法に従って保存した場合の期限です。開封後は、期限にかかわらず早めに食べきることが大切です。
食品ロスを減らすために、無理をして食べる必要はありません。
食品の安全性を第一に考えながら、正しい知識を持って判断することも、食べものを大切にする行動の一つです。
小さな一歩が、食べものの未来を変える
知ることで、食べものへの見方が変わる。
見方が変わると、いつもの買い物や食卓での選択も、少しずつ変わっていくかもしれません。
一人の小さな行動では、何も変わらないように思えることもあります。
けれど、その一歩が、また誰かの一歩につながっていくとしたら。
一人ひとりの小さな気づきと行動が重なり合うことで、食べものの未来を変える、大きな力になるはずです。
そのはじまりは、私たちの毎日の暮らしの中にあるのかもしれません。
参考文献
[1] 環境省(2026年)「令和8年度食品ロス削減月間について」
https://www.env.go.jp/press/press_05593.html
[2] 消費者庁(2026年)「2024(令和6)年度食品ロス量推計値の公表について」
https://www.caa.go.jp/notice/entry/046549/
[3] 消費者庁「食品ロスについて知る・学ぶ」(2026年10月24日閲覧)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education
[4] 消費者庁「食品ロスについて知ろう」(2026年10月24日閲覧)
https://www.no-foodloss.caa.go.jp/2026month_know.html
[5] 農林水産省(2026年)「事業系食品ロス量(2024年度推計値)を公表」
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/260630.html
[6] 消費者庁「家庭での食品ロスを減らそう」(2026年10月24日閲覧)
https://www.no-foodloss.caa.go.jp/eating-home.html
[7] 消費者庁「食品ロスの削減を通じて、資源の有効活用や環境負荷への配慮を」(2026年10月24日閲覧)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/consumer_education/subcommittee/effrots_005

